手水(てみず・ちょうず)は、神社の境内にある手水舎(てみずや)で手と口を清める行為です。神様の前に立つ前に身を清める「禊(みそぎ)」の簡略化された形で、外側の汚れだけでなく心の汚れも水で洗い流すという意味があります。
手水の作法
手水舎での手と口の清め方、コロナ後の変化まで。
手水の意味と歴史
手水の起源は、日本神話のイザナギが黄泉の国から帰った後に川で禊をしたという話に遡ります。水には「穢れを洗い流す力」があるとされ、古くから神道の重要な儀礼でした。
古代の禊は川や海で全身を清める大がかりなものでしたが、時代を経て境内の手水舎での簡略化された形(手と口のみを清める)として定着しました。現代では手水舎は境内の見どころの一つにもなっており、花手水(はなちょうず)と呼ばれる花を浮かべた美しい手水舎が人気を集めています。
手水の正しい作法(ステップ)
①: 柄杓(ひしゃく)を右手で取り、水をたっぷりすくう ②: 左手の甲・手のひらに水をかけて清める(左手から始めるのは左が「清浄」の側とされるため) ③: 柄杓を左手に持ち替え、右手を同様に清める ④: 柄杓を右手に持ち直し、左手のひらに水を受ける(器を作る) ⑤: 受けた水を口に含んで静かにすすぎ、左手の外側に吐き出す(柄杓に直接口をつけるのはNG) ⑥: 左手をもう一度清める ⑦: 柄杓を両手で縦に持ち、柄の部分に残り水を流して清め、元の位置に伏せて置く
ポイント: 柄杓に一度ですくった水だけで全工程を行う(水を足さない)のが正式な作法です。
コロナ禍以降の変化と現在
2020年のコロナ禍以降、多くの神社で手水舎の龍の口(水が出る部分)が封じられ、代わりに流水式・自動給水式・消毒液に切り替えた神社も増えました。
現在も口すすぎを省略している神社が多くあります。神社の案内板に従ってください。「手のみ清める形」「流水に手をかざすだけ」でも、心身を清めるという意識があれば手水の本義は十分に満たされます。
花手水(花を浮かべた手水)・アート手水など、手水舎が神社の見どころになっているケースも増えており、インスタグラムなどSNSで話題になることもあります。
よくある質問
手水の作法についてよく寄せられる疑問に答えます。
手水の水は飲めますか?
手水の水は飲用ではありません。口をすすぐ際も飲み込まずに吐き出します。「口を清める」という象徴的な儀式であり、水を飲む行為ではありません。最近は口すすぎを省略している神社も多いです。
柄杓がない場合・流水式の場合はどうすれば?
流水式や自動給水式の場合は、流れる水で手を洗う形で十分です。柄杓が撤去されている場合は、直接手をかざして水を受ける形も可。手を清めるという意識があれば、形式は神社の設備に合わせて柔軟に対応して構いません。
子供に手水をさせても良いですか?
もちろんです。小さな子供には「水で手を洗うよ」と説明し、一緒に行うのが良いでしょう。口すすぎは省略して手だけを清める形がおすすめ。柄杓を持てない年齢の子供は大人が介助しながら行います。
手水が終わったら手はどうやって乾かしますか?
自然乾燥が基本で、境内でハンカチなどで拭くのが一般的。手水舎の近くにタオル類が置いてある神社もあります。ハンカチを持参するのがおすすめです。清めた手を汚い布で拭くのは本末転倒なので、清潔なハンカチを使いましょう。
花手水はどこの神社で見られますか?
花手水は全国に広まっており、季節の花を使った美しい演出で知られる神社が多くあります。京都の楊谷寺(やなぎだにでら)が先駆けとされ、現在は神社・寺院問わず多くの場所で見られます。SNSで「花手水 ○○(地名)」と検索すると近くの花手水スポットが見つかります。