美容のご利益は、美しさ・若々しさ・心身の整いを願うもの。古くから女神を祀る神社で篤い信仰を集め、近年は「美容神社」として若い女性の参拝が急増しています。神道では外見の美しさと内面の清らかさは不可分とされ、「美しさとは神様からの賜り物(賜美)」という考えが信仰の根底にあります。
美の女神の系譜——神話の中の美
日本神話でもっとも美しい女神の筆頭は木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメ)。桜の花のように咲き誇る美しさから、美容・縁結び・富士山の女神として祀られます。天照大御神が岩戸に隠れた際、天之鈿女命(アメノウズメ)が艶やかな舞踊で神々を笑わせた神話は、「魅力とは内から輝くもの」という美の本質を伝えています。宗像三女神(市杵島姫命・田心姫命・湍津姫命)は海の女神でありながら弁財天と習合し、芸能・美・財の三位一体の女神として崇敬されてきました。
代表的な美容神社(地域別)
京都: 河合神社(下鴨神社の摂社・玉依姫命を祀る)、晴明神社の水 東京: 大宮八幡宮(「東京のへそ」とも呼ばれる美容の神社)、皆中稲荷神社 福岡: 宗像大社(宗像三女神の総本社。女性の美と芸能を守護) 奈良: 長谷寺(十一面観音。肌荒れ・美肌に古くから信仰)
河合神社の「鏡絵馬」とは
下鴨神社の摂社・河合神社の「鏡絵馬」は、顔の形をした木の絵馬に自分の化粧を施して奉納する独自の風習。「理想の自分になれますように」と願いを込めて描く参拝者が後を絶たず、境内は絵馬の展示で彩られています。化粧道具を持参して社前で化粧する参拝スタイルが定着しています。